今回のインタビューでは、ワークスタジオ吾妻の卒業生
W さんにお話を伺いました。
Wさんは2018年9月にワークスタジオ吾妻が
開所されたときのオープニングメンバーとして利用を
開始され、3年間の訓練の後、主に車の部品加工を
おこなっている地元企業に就職されました。
施設外訓練としてその企業様に通っていた頃から、
就職を熱望されていたWさん。毎日やりがいのある
お仕事に精を出し、訓練生でいた時よりも明るく
穏やかになったように見受けられます。
インタビューをお願いしたときも、軽やかな足取りで
事業所まで出向いてくれました。

—ワークスタジオ吾妻を利用したきっかけはどんなことでしたか?
3年前、ワークスタジオ吾妻が開所する際の見学会に
参加したのがきっかけでした。
高校を卒業後、一度は就職しましたが、なんとなく
仕事や環境が合わずに調子を崩して辞めてしまい
ました。その後は主に家で寝ているような生活を送って
いたのですが、そんな時に担当の相談員さんから
ワークスタジオ吾妻を紹介してもらいました。
—Wさんは開所時からのメンバーさんでしたね。
では、ワークスタジオ吾妻を利用して「これは
よかった」と思えたことはありますか?
事業所内で“社会人として働くうえでのルール”を座学で
学ぶだけでなく、施設外訓練での実践を通してさらに
学びを深めることができたことです。
パソコンに関しても、高校時代に少し触ったことがある
くらいでしたが、パワーポイントでのチラシ作りが上手
にできるようになりました。厚切りお肉が食べられる
BBQイベントのチラシ作りが一番心に残ってます。
なんと言っても、笠井所長の熱いお話を聞けて、
“いどだななど(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・
どのくらいを組み込んで話す話法)”や“PREP法(結論→
理由→事例→結論の順に話す話法)”など、『自分の思い
を相手に伝えるスキル』を教えてもらえたのがよかったです。
—事業所内だけではなく、外に出て実践を積めるという
のは大きいですね。その他に、ワークスタジオ吾妻を
利用して自分で成長できたと思えることはありますか?
『失敗を学びに変える』という考え方やその手段が身に付いたことです。
施設外訓練で今の会社に行ったときに一度、部品の
入れ忘れのミスをしてしまいました。どうすればもう
ミスが無くなるか・どうやったらもっとうまくできる
のかを自分なりに考え、実行した結果、その後は同じ
ミスをしないようになりました。
—『失敗を学びに変える』…深い言葉ですね。
では、今のお仕事を選んだきっかけはどんなこと
でしたか?
職場の人たちが良い人が多く、時には優しく時には
厳しく接してくれるところです。私のことを応援して
くれる方が多いです。
現場のTさんは冗談を言って雰囲気を和ませてくれ、
お兄さんのように思える方です。
また、総務のKさんは社員皆さんの勤務管理をしっかり
されているし、何かお知らせがあれば掲示物などで
しっかりアナウンスしてくださるし、いつもすごいなと
思っています。
—雰囲気の良い会社さんというのは、私も施設外訓練に
同行しているからわかる気がします。
次に、今のお仕事の内容ややりがいについて教えて
ください。
車のハンドル製造に使う小さな部品を、トレイに並べて
いく作業を主に任されていますが、最近では機械の操作
も少しづつ教えてもらえています。
『Wさんはミスが無いよね』とまわりの人から自分の
仕事ぶりを褒めてもらえることが大きなやりがいに
なっています。
毎月いただいているお給料をコツコツ貯金して、
半年ほど前には奮発して新車を買うこともできました。
—『働く喜び』をしっかりと見つけられていますね。
今は順調に働けていて何よりですが、就職するときに
心配だったことはありますか?
施設外訓練で何度も行っていて、仕事内容も会社内の
雰囲気もある程度わかってはいたので、特に大きな心配
はありませんでした。あえて言うなら、正式に入社した
際に社員の皆さんにきちんとご挨拶や自己紹介ができる
のかが心配でした。各部署への挨拶まわりの時には
総務のKさんが付き添ってくださったので、とても安心
することができました。
—今後の目標は何かありますか。
まずは“相手に助けてもらったらきちんと「ありがとう」
が言える人”になりたいです。今もそれはできてはいます
が、まだ不十分な気がしています。
あとは、これからも皆さんに『ミスが無いね』
『Wさんに任せておけば安心』と言ってもらえる自分で
いたいと思います。
—では最後に、今ワークスタジオを利用している方や
これから利用を考えている方たちに伝えたいことはありますか?
ワークスタジオで訓練したことによって、謙虚な心を
もって、周りの人に素直に『ありがとう』と言うことの
大切さを学べました。
『失敗を学びに変える』という前向きな発想ができる
ようになったのも、私にとって大きな成長でした。
———
利用者時代にはほぼ皆勤で休むことなく事業所に
通うことができていたWさん。そのまじめでコツコツと
物事に取り組む姿勢は就職先でも評価されており、
充実した様子でお仕事に取り組めている姿を見て、
私もうれしい気分になれました。
訓練時は支援員の話に熱心に耳を傾け、しきりに
うなずきながら話を聞いてくれていたWさんですが、
そのまっすぐさを大切にしながら、これからも職場内の
方たちに愛していただけるよう、切に願っております。