新元号になり、国は多数の政策を打ち出しました。その中の一つに「障害者雇用促進法」というものがあります。これは文字通り障がい者にとって働きやすい環境を整えるのと同時に障がい者の雇用の促進を図るといった内容です。未だに根深い障がい者の雇用問題ですが、ワークスタジオ群馬は支援の一環として企業での教育訓練を提供しています。今回、初めて受け入れ先となった「株式会社ブレインファーム」はWEB制作やIT教育などに精通し、中小事業者向けの広告企画の制作をしている企業です。
今回はワークスタジオ群馬の代表笠井さんと、その利用者であり教育訓練を利用したSさん、そして教育訓練先の株式会社ブレインファームの代表である龍野さんの鼎談が実現しました。
- 笠井さん ワークスタジオ群馬代表(以下、K)
- Sさん ワークスタジオ群馬利用者(以下、S)
- 龍野さん ブレインファーム代表(以下、T)
教育訓練でwebサイトを手がける
T:笠井さんからの依頼で、弊社が受け入れ先として決まりました。3ヶ月間を目処に依頼を引き受けました。12月の初旬から教育訓練が始まり3月10日が修了でした。
K:そうでしたね。
T:ブレインファームは求職者支援訓練の講師を行なっており、私がフリーランスの頃は学生に教えていたりもしました。あとWEB系の講師をしたりもしました。その続きとして最近も講師を頼まれて、スタッフが出向いたりしていました。
こんな感じで職業訓練は元々やっておりました。産業支援機構のメルマガを見て、産業技術専門校に電話したら大丈夫ということだったので、笠井さんに連絡しました。訓練生には訓練給も支給されるので人気も高いですが、入校が厳しく、ハローワークが認めた人のみ学校に面接することができます。且つ給付金がもらえるのは、そこでやる気のある人だけです。そういう面でもSさんは給付金も出たので本当に優秀でしたね(笑)
普通であるべき
S:いえいえ、そんなことないですよ(笑)
T:いやーでも本当にSさんは優秀でした。
K:実際にはどんなことをやっていたんですか?
T:基本的にはうちの本業であるWEBサイトの制作・開発です。開発によく用いられるhtml、css、javascriptなどで作ります。
去年10月にワークスタジオさんが運営を始めた、キッチンカー「あがタコ」のオフィシャルウェブサイトを作ることが課題でした。
S:はい。取り組むことで技術や知識も身につきました。
T:制作に必要な写真は、自分で撮ったんですよね?
S:はい、所長と一緒に吾妻にお伺いして撮影しました。食べ物の写真は赤っぽくというアドバイスもいただいたので。写真データの加工もしました。
T:私がいつも言うのは普通であるべきということです。予約が欲しいというサイトなので、見た人が使いやすいということが重要。凝ったことや変わったことをすると却って使いづらいということがあるので。
K:シンプルであることが要望ですよね。たこ焼きが予約してもらえるかという大事なところにフォーカスされているかが一番重要です。文章や行数もなるべく少なく。その方が刺さるんですよね。僕も販促やっていたのでわかります。
S:そこまで凝る技術が必要ではなかったのは、逆に助かりましたね。凝ろうとするとこれほど上手く進まなかったと思うので。
障がいではなく、やる気の有無で判断する
K:今回の教育訓練は、めちゃくちゃ上手くいったよね。Sさん本人は自信があったけど、最初はパフォーマンスが出せるかどうかはわからなかった。でも実際に完成した「あがタコ」のサイトを見て、確信しました。
S:相談して本当に良かったですね。ワークスタジオさんで広報として働くというところまで話が進みました。就職まで全部決まるとは思っていなかったです。他の場所に行こうかとも迷っていたんですけど、相談してみて、より挑戦できる環境の方が良いと背中を押していただけました。
S:私は障がいとして考えるなら軽い方ですし、パッと見全然障がい者に見えないとは思います。でも、だからこそ辛かった部分はあったんですよね。今まで。
K:うちのスタンスは基本、障がいがあるかないかで区別しないのでね。
本当に行けてよかったと思います。
K:障がいが軽度だろうが重度だろうが扱いは全員一緒で、私が言いたいのは障がいの重さなんて法律上の線引きであるってことなんですよね。障がいの重さなんて関係なくて私が一番重要視しているのはやる気があるかないかなんですよ。
だから私の場合はやる気のあるなしでカテゴライズしてるんですよね。本当にやる気がないとやっていけないと思いますよ。
T:そう思います。
K:ワークスタジオにいる人って、ただ目が見えないとか、たまたま障がい者と呼ばれているだけでみんな成功の秘訣は持っているんだと思います。やる気はなくて会社で働いてる人はたくさんいるけどそういう人達は成功しないんですよ。だってやる気がないから。
アクションを起こした人だけが自分なりの成功を収めることができるから、何も行動を起こさなかった人達は成功を収めることはないんじゃないかなと思いますね。時代も時代ですからね(笑)
S:そうですね。
K:若かりし矢沢永吉が言ってたのをテレビで見たんですけど、「どんな時代でもやるやつはやるしやんないやつはやんない」なんてすごい言葉なんだと思って。 S:それは本当にすごく思いますね。
あくまでも自分が変わるしかない
K:だから私は「やる」という事が大事な二年間にしたいなと思いましたね。それでたまに「やる気がないんですけど、どうしたらいいですか」っていう人がいるんだけど、私がいつも言うのは「でもここに来てるってことはもうやる気はあるんだよ。あなたが気付いてないだけだよ」っていう事なんですよね。
自分を変えたい、環境を変えたいって言う人は多くいるんだけど、家族とか環境は変わってくれなくて、あくまでも自分が変わるしかないんですよね。そういったことができる施設を作りたいと考えてますね。Sさんがそういった事を語れると良いよね。
S:そうですね。 K:やる気がない人がやる気になって、Sさんは就職まで出来たわけだからさ。そこにあるのは事実だけで嘘はなくて、あとは見せつけるだけだよ。一生懸命に言われた通りやれば上手くいくってことを。百聞は一見にしかずじゃないけどさ。
Sさんが教育訓練で制作した「あがタコ」のオフィシャルウェブサイトはこちら
ワークスタジオ群馬・オフィシャルウェブサイト
https://www.wsgunma.com/