ワークスタジオ群馬には、利用者の希望を最大限に叶えるシステムがあり、カリキュラムがあり、人がいる。
-Sさんは、どのような障がいをお持ちなのでしょうか。
聴覚障がい2級、身体障がい1級、軽度知的障がい(B2)です。
私は7ヶ月で未熟児として生まれ、もともと身体が弱いほうでした。小学4年生まで歩くことができず、小さい頃は病院で週3回のリハビリを行なっていました。
-お仕事について、教えてください。
Mフーズという食品会社で、衛生管理の仕事をしています。玄関や廊下、階段、更衣室の床を掃除することが主な業務内容で、ユニフォームなどの備品を業者から受け取ることなども行なっています。
基本的には9:00~16:00のスケジュールで勤務していて、時期によっては早い時間から始まる時もあります。
-現在のお仕事に就いたきっかけを教えてください。
長く働く体力をつけよう、と思ったからです。他にも様々な職場に就労体験させていただきましたが、その中でも自分に最も合った場所でした。
また「なるべく通勤は徒歩がいい」と考えているため、自宅から20分程度のところにあるバス停まで歩いて通っています。
-就職するときに、心配事はありませんでしたか?
なかったですね。ただ母は心配していたようです(笑)
私が会話を理解するためには「相手の口の形」が重要になるのですが、「たまご」「たらこ」「たばこ」など口の動きが似ているものは判断しづらく、食品工場だと筆談の道具が持ち込めないため、少し心配があったみたいです。
私は楽天的で一人でも大丈夫なほうなので、特に不安に思うことはありませんでした。
-ワークスタジオ群馬を利用したきっかけを教えてください。
高校卒業したあと、なかなか就職先が決まらない時期があり、期間限定でなんとか就職することはできたものの自分にマッチする職場ではありませんでした。
その後に伊勢崎市の就労支援施設を利用したのですが、オフィスワークがしたいという希望から別の就労支援施設を探すことにしました。
その時に、現ワークスタジオ群馬代表の笠井さんが所長をつとめていたところで利用を始め、笠井さんが独立されるということでワークスタジオ群馬の発足とともに通い始めた…という流れです。ワークスタジオ群馬には1年と1ヶ月の間お世話になりました。
-ワークスタジオ群馬を利用して、これが良かった!というポイントはありますか?
とにかく熱心に指導してくださいました。研修で職場に通っていたときにはサポートをしてくださいましたし、会社と自分の間に入って「何か困ったことはないか」と気にかけてくれたのが助かりました。
また、卒業後もバーベキューやオセロなどのイベントに月2回ほど誘っていただき、さらには担当してくださった方と”ぐんまマラソン”にも参加して10kmを完走することができました。
-それはすごいですね!身体的なハンディキャップを持っていなくても、10kmを完走することは簡単ではないことです。
担当の方が、マラソンの練習から一緒にしてくださったので、楽しく完走できました。
また、中学・高校とろう学校に通っていたのですが、そこで陸上部に入っていたんです。とはいえ部員が自分だけだったのでマンツーマンで指導してもらっており、それも基礎になっているかもしれません。
-ワークスタジオ群馬で学ぶ中で、特に役に立った知識などはありますか?
5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)、そして報連相を常に徹底することですね。これらは、まさに今の仕事につながっています。
人を個人として見つめるからこそ、仕事だけでなくプライベートの部分でも支援員と利用者が協力関係を結ぶ。その結果、利用する人が「幸せ」について多面的に考え、それぞれの幸福を手に入れることに繋がっていく。 ぐんまマラソンを完走し、「また一緒に練習するんです」と語るSさんの輝いた表情が、全てを物語っていたように思う。